提案資料を、4つのAIエージェントで分業して作った話
提案案件が立て込んでくると、資料作成に時間が取られて、肝心の中身の議論ができなくなります。「資料は早く作りたい、でも安っぽくしたくない」という板挟みを、AIで解こうとして失敗を繰り返してきました。1つのAIに全部任せると粗が残る、テンプレ流用だと案件ごとの「らしさ」が消える。最終的にたどり着いたのは、4つのエージェントを分業させる構成(Atelier)です。
1つのAIに全部任せて失敗した話
最初の試みは単純でした。Claudeにテーマと資料の骨子を渡し、「この内容でHTMLの提案資料を作って」と頼む。それなりに動くものは出てきましたが、レビューに耐えませんでした。「ストーリーは綺麗だが中身が薄い」「デザインは整っているが論点が散漫」「文章は流れているが顧客固有の話が抜けている」。
原因は今になれば分かります。1回のリクエストで「思考」「構造化」「実装」「品質チェック」を全部させようとした。1人の人間にそれを求めても無理なのと同じで、AIにも難しかった。
工程を分けたら、品質が安定した
ある時、提案資料の作成プロセスを書き出してみました。コンセプトを決める→構成を作る→デザイン実装→品質チェック、という4つの工程が確かにあり、人間でもこの順番でやっています。AIにも同じことをさせればいいだけだった。
今は4つのエージェントが順に走ります。コンセプト担当(Opus)はWebリサーチをして仮説を立てる。戦略担当(Sonnet)はそれをスライド単位に分解する。デザイン担当(Sonnet)がHTMLとして実装する。品質担当(Sonnet)が辞書ベースで「ポエム表現」「禁止語」「楽観断定」を機械検査する。
いちばん効いたのは品質担当エージェント
意外だったのは、4番目の品質担当が想像以上に効いたことです。AI生成記事に頻出するメタ表現(額縁化する言葉・物理メタファー・芝居がかった常套句)を、機械的に検出して直させる。1つのリポジトリの中に文体ルールを辞書として持って、Designerに渡す前に必ず通す。
これによって、最終アウトプットの「AI生成感」が大幅に減りました。Designerはいくら指示しても癖が出るのですが、Criticがそれを毎回掃除してくれる、という構図になっています。
PowerPointへの書き出しまで設計した
もう一つ重要だったのは、出力フォーマットです。提案資料はクライアントに渡す必要があるため、HTMLだけでは足りません。PowerPointファイルに書き出せるところまでをワンパスで完成させました。
ヘッダー・フッター・章扉の座標はページ間で完全一致するように共通ヘルパーで描画しています。これは「Agent分業すると座標がバラつく」という別の問題への対処で、描画を一箇所に集約することで解決しました。
これから外に出したいと思っている理由
Gamma や Tome のような海外SaaSは既にあります。私たちが差別化できると思っているのは、「日本のSI/コンサルの提案文化に合わせた品質チェック辞書」を持っていることと、「顧客のコーポレートカラーに合わせる」運用を最初から組み込んでいることです。
ベータテストでは、対象案件・テンプレ・ブランドガイドラインを共有いただければ、御社専用にチューニングします。サービスページに詳細を載せています。